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20社591事業所のマージン率を並べた——会社の数字1つでは比べられない

編集部公開 2026年8月25日

マージン率は、派遣会社が公開しなければならない数字になる(労働者派遣法第23条第5項)。

「相場は30%前後」という説明はよく見る。では実際はどうなのかを、公開されている数字を集めて確かめた。

集めたのは20社・591事業所。派遣労働者はのべ22万7千人分になる。

先に、この記事で分かること

会社ごとの平均27.2% 〜 40.0%
事業所ごとで見ると18.8% 〜 50.9%
全事業所の中央値32.2%
同じ会社の中の幅最大で32.1ポイント(ニチイ学館)

同じ会社の中の差が、会社と会社の差より大きいことがある——これが結論になる。

何を集めたか

先に言葉を1つ。ここでいう事業所は、派遣会社(派遣元)の事業所になる。支店や営業所のことで、働きに行く施設のことではない。

派遣法第23条第5項が、公開を義務づけている。条文はこう書いている。

労働者派遣事業を行う事業所ごとの当該事業に係る派遣労働者の数、労働者派遣の役務の提供を受けた者の数、労働者派遣に関する料金の額の平均額から派遣労働者の賃金の額の平均額を控除した額を当該労働者派遣に関する料金の額の平均額で除して得た割合(略)に関し情報の提供を行わなければならない

長いので、この記事で使うところだけ取り出す。

拾ったもの
マージン率(料金の平均 − 賃金の平均)÷ 料金の平均
料金の平均額派遣先が払う額
賃金の平均額派遣労働者に払われる額
派遣労働者の数その事業所の規模

そして単位は事業所ごとになる。会社全体の数字ではない。

各社が公開しているページとPDFから、これを1事業所ずつ拾った。

会社別の一覧

この記事で計算した会社別の加重平均が低い順に並べている。計算は次のとおり。

(Σ 料金×人数 − Σ 賃金×人数)÷ Σ 料金×人数

事業所ごとの率を単純に平均していない。小さな事業所の影響が大きくなりすぎるため。

会社事業所加重平均事業所ごとの範囲(%)
株式会社ベネッセキャリオス727.2%22.9 〜 36.1
株式会社マックスサポート1027.8%23.0 〜 30.6
株式会社ウィルオブ・ワーク4529.3%23.6 〜 33.2
セントスタッフ株式会社1129.7%23.1 〜 34.1
株式会社メディカル・コンシェルジュ2430.1%26.9 〜 35.5
株式会社ブレイブ2930.7%24.9 〜 36.3
株式会社スタッフサービス8430.8%24.4 〜 38.8
マンパワーグループ株式会社5930.9%27.3 〜 34.2
株式会社ツクイスタッフ2331.0%27.7 〜 35.5
レバウェル株式会社731.4%31.2 〜 32.6
株式会社スーパーナース1631.5%30.4 〜 34.3
株式会社ソラスト1231.8%20.4 〜 40.8
株式会社トライトキャリア1731.8%30.1 〜 34.4
株式会社キャリア2231.9%27.9 〜 36.7
株式会社kotrio2132.1%30.4 〜 33.4
株式会社ニチイ学館6432.1%18.8 〜 50.9
株式会社日本教育クリエイト1234.2%30.2 〜 37.5
株式会社ニッソーネット1534.5%33.1 〜 39.0
株式会社ネオキャリア3936.2%25.6 〜 44.2
日研トータルソーシング株式会社7440.0%30.4 〜 50.6

マージンからは、社会保険料の会社負担分、有給の賃金、教育訓練の費用が出ている。低い会社ほど良い、とは限らない理由がここになる。詳しくは読み方の記事で扱っている。

同じ会社の中で、これだけ違う

いちばん見てほしいのはここになる。

同じ会社の中での、事業所ごとの幅 横軸=マージン率(%) 15 35 55 ニチイ学館 64事業所 18.8 50.9 日研トータル 74事業所 30.4 50.6 ソラスト 12事業所 20.4 40.8 kotrio 21事業所 30.4 〜 33.4 レバウェル 7事業所 31.2 〜 32.6
同じ会社でも事業所によってマージン率が違う。ニチイ学館は18.8%から50.9%まで開いている一方、レバウェルは31.2%から32.6%に収まっている。

ニチイ学館は、64事業所で18.8%から50.9%まで開いている。幅は32.1ポイントになる。

一方で、レバウェルは1.4ポイント、kotrioは3.0ポイントしか開いていない。

同じ「加重平均32.1%」でも、ニチイ学館とkotrioでは意味が違う。前者はどの事業所に所属するかで大きく変わる、後者はどこでもだいたい同じ、ということになる。

極端な値が、人のいない事業所のせいではない。 ニチイ学館の最小18.8%は浜松支店(派遣労働者25人)、最大50.9%は仙台支店(同42人)。どちらも実際に人がいる。

なぜ差が出るのかは、このデータからは分からない。 扱う職種の構成、地域、契約の中身のどれが効いているかまでは、公開されている情報に書かれていない。

幅が大きい会社と、小さい会社

幅が大きい(配属先で変わる)幅幅が小さい(どこでも同じ)幅
ニチイ学館32.1レバウェル1.4
ソラスト20.4kotrio3.0
日研トータルソーシング20.2スーパーナース3.9
ネオキャリア18.6トライトキャリア4.3
スタッフサービス14.4ニッソーネット5.9

右側の会社なら「この会社は何%」と言える。左側は、事業所ごとに見ないと分からない。

全体の分布

591事業所を並べると、こうなる。

最小18.8%
25%の事業所がこれ以下30.2%
中央値32.2%
75%の事業所がこれ以下35.1%
最大50.9%
帯事業所の数
30%未満133
30%以上35%未満304
35%以上155

「相場は30%前後」という言い方は、やや低めに寄っていることになる。実際の中央値は32.2%で、35%以上が155事業所ある。

このデータの限界

数字を出す以上、どこまで確かかも書く。

対象の期間がそろっていない

各社が公開しているのは前の事業年度の数字になる。事業年度は会社ごとに違うので、集めたデータの対象期間は18種類に分かれた。

主な期間事業所の数
2025年4月1日〜2026年3月31日(表記ゆれを含む)237
2025年1月1日〜2025年12月31日64
2025年3月1日〜2026年2月28日39
2024年10月1日〜2025年9月30日(表記ゆれを含む)67
2023年10月1日〜2024年9月30日22

いちばん古いものと新しいもので、1年半以上ずれている。同じ物差しで並べた表ではない。

算定の単位が会社によって違う

施行規則は、一体的な経営を行っている他の事業所とまとめて算定してよいと定めている。だから「1事業所」の中身が会社によって違う。

事業所の数が多い会社ほど細かく分けて出している、とは限らない。

1件を除いた

全事業所について、条文の式で計算し直した率が、公開されている率と一致するかを確かめた。差が0.15ポイントを超えたものを外す、という基準にした。

該当したのは1件だけになる。株式会社ブレイブの静岡オフィスで、公開されている賃金の額が他の事業所の10倍近くになっていた(139,119円。他は1万円台)。転記の誤りとみて集計から外した。

残る591事業所は、(料金 − 賃金)÷ 料金 が公開されている率と一致する。

派遣労働者が0人の事業所が4つある

料金と賃金と率は公開されているが、派遣労働者の数が0と書かれている事業所が4つあった(スタッフサービス3、ニチイ学館1)。

事業所の数と範囲には入れている。加重平均は人数で重みづけするので、この4件は加重平均に影響しない。

4件を除いて計算し直しても、最小18.8%・中央値32.2%・最大50.9%は変わらなかった。

集めた時点

2026年8月24日時点で各社が公開していたページとPDFから取得した。会社は随時更新するので、いまの数字とは違うことがある。

出典のURLは事業所ごとに記録してある。321事業所については、PDFそのものを保存し、内容のハッシュ値も残している。残りはHTMLのページから取得したもので、ページが更新されると元の表示は確認できなくなる。

この数字の使い方

1. 会社の平均だけで選ばない。幅が大きい会社なら、平均は目安にならない

2. 配属先が決まったら、その事業所の数字を見る。会社のサイトで事業所ごとに公開されている

3. 低さだけを見ない。研修や資格支援の中身と合わせて見る

4. 同じ期間どうしで比べる。期間がずれていれば、単純な優劣は言えない

出典

  • 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律 第23条第5項(情報の提供)(e-Gov法令検索・2026年8月25日取得)
    https://laws.e-gov.go.jp/law/360AC0000000088
  • 各社が公開している情報提供ページおよびPDF(2026年8月24日取得)。出典URLは事業所ごとに記録している

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