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マージン率の読み方——低い会社がいい会社とは限らない

編集部公開 2026年8月22日

マージン率は、派遣会社が受け取る料金のうち、賃金として支払われなかった分の割合をいう。法律で公開が義務づけられているので、各社のサイトで見られる。

低いほど良い、とは言えない。この中から社会保険料の会社負担分と教育訓練の費用が出ているので、下げれば教育や福利厚生に回る分が減る。

そして、同じ数字の隣にはもっと役に立つ項目が並んでいる。公開が義務づけられているのはマージン率だけではない。

何を計算した数字か

労働者派遣法第23条第5項が、派遣会社に情報提供を義務づけている。マージン率の計算方法は施行規則第18条の2で決まっている。

(派遣料金の平均額 − 賃金の平均額)÷ 派遣料金の平均額

前の事業年度について、派遣労働者1人1日あたりの平均額で計算する。小数点以下1位未満は四捨五入する。

つまり「この会社が何%抜いている」という数字ではなく、前年度の平均を割り算したもの。個々の契約の取り分ではない。

事業所ごとの数字である

条文は「労働者派遣事業を行う事業所ごと」に情報提供せよと定めている。会社全体の数字ではない。

同じ会社でも、支店が違えば数字が違う。扱う職種の構成が違えば、料金も賃金も変わるため。

ただし例外がある。規則は、一体的な経営を行っている他の事業所とまとめて算定してもよいと定めている。会社によって、数字の粒度が違うことになる。他社と比べるときは、どの範囲の数字なのかを見ることになる。

この中から出ているもの

マージンは会社の利益ではない。ここから次のものが払われる。

  • 社会保険料の会社負担分。健康保険と厚生年金の保険料は、会社と本人が半分ずつ負担する決まりになっている。本人の給与から引かれているのと同じ額を、会社も払っている
  • 有給休暇の賃金。働いていない日の賃金は、派遣会社が払う
  • 教育訓練の費用。派遣会社には教育訓練の実施義務があり(法第30条の2)、許可の基準では有給かつ無償で行うこととされている。研修中の賃金もここから出る
  • 募集・登録・労務管理の費用。求人広告、登録会の運営、担当者の人件費
  • 会社の利益
派遣料金を100としたときの内わけ 賃金 65.5 本人に払われる分 残りから下のものが出ている 事業運営費(人件費・家賃・光熱費) 13.6 法定福利費(社会保険の会社負担) 8.5 募集広告費 5.2 教育研修費(研修・資格取得の支援) 3.1 業務管理費 1.2 会社の利益 2.9 率を下げると、このどれかが薄くなる。 利益は2.9で、いちばん大きいのは事業を回すための費用。
実際に公開されている例。株式会社ニッソーネット(かいご畑)が「マージン率の内訳」として出している割合。対象期間は2024年10月1日〜2025年9月30日。同社の事業所別のマージン率は33.1〜39.0%で、この内訳がどの事業所のものかは書かれていない。

マージン率を下げると、このどこかが薄くなる。教育訓練を削るのが一番やりやすい。だから数字の低さだけを見て選ぶと、研修や資格支援の中身で損をすることがある。

同じページに、もっと役に立つものが載っている

情報提供の義務は、マージン率だけではない。規則が挙げているのは次のとおり。

公開が義務づけられているもの読み方
派遣労働者の数その事業所の規模。求人の数ではない
派遣先の数取引のある職場の数
マージン率上の計算式による割合
派遣料金の平均額1人1日あたり
賃金の平均額1人1日あたり
労使協定を結んでいるか否か賃金の決め方が分かる
労使協定の対象範囲と有効期間の終わり自分が対象に入るか
教育訓練に関する事項研修の中身

このうち労使協定の有無は、賃金がどう決まるかに直結する。協定を結んでいる場合、賃金は国が毎年公表する一般賃金の水準以上でなければならない。結んでいない場合は、派遣先の社員と比べて決めることになる。

教育訓練に関する事項も同じ場所に載っている。「資格取得支援あり」という求人票の一行より、こちらのほうが具体的になる。

情報提供の方法は「インターネットの利用その他の適切な方法」と定められている。各社のサイトを探せば見つかる。

どこで見られるか

2か所ある。

各社のサイト。「情報公開」「事業所情報」といった名前のページに置かれている。会社によっては、フッターの小さなリンクの先にある。

厚生労働省の人材サービス総合サイト。許可を受けた派遣事業所が登録されていて、事業所ごとの情報を検索できる。1社ずつサイトを回らずに比べたいときはこちら。

数字を見るときに、2つ気をつけることがある。

前の事業年度の数字である。いま契約している案件の割合ではない。

1人1日あたりの平均である。時給ではない。勤務時間の長さが事業所ごとに違えば、同じ時給でも数字が変わる。

比べるなら、この順で

マージン率から入ると判断を誤りやすい。順番を変える。

1. 労使協定を結んでいるかを見る。賃金の決め方が分かる

2. 教育訓練に関する事項を読む。回数、内容、費用の負担

3. 賃金の平均額を見る。マージン率より、こちらのほうが手取りに近い

4. マージン率は、上の3つを見たあとの参考にする

数字が低い会社を選ぶのではなく、何にいくら使っているかが説明できる会社を選ぶほうが、働き始めてからの違いになる。

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出典

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