2〜3社が目安になる。
1社では足りない理由が2つある。扱っている職場が会社ごとに違うことと、担当者との相性は登録してみないと分からないこと。
一方で、多ければ多いほど良いわけでもない。有給休暇は派遣会社ごとに計算されるので、分散させると付きにくくなる。
何社でも登録してよい
登録する会社の数に、法律上の制限はない。同時に複数の会社に登録していても問題にならない。
登録した時点では、まだ雇用契約は結ばれていない。登録型の派遣では、仕事が決まったときに、その仕事の期間について雇用契約を結ぶ。だから「登録したから働かなければならない」ということもない。
紹介された仕事を断ることもできる。断った回数で不利になる決まりもない。
1社では足りない理由
扱っている職場が違う
派遣会社はそれぞれ別の施設と取引している。ある会社にしかない求人がある一方で、同じ施設を複数の会社が扱っていることもある。1社だけを見ると、選べる範囲がその会社の取引先に限られる。
担当者との相性が分からない
働き始めてからのやりとりは、ほぼ全部担当者を通る。会社は選べても、誰が担当になるかは登録の時点では分からない。2〜3社に登録して、同じことを聞いて、答え方を比べる。それが担当者を見る唯一の方法になる。
増やしすぎると起きること
有給休暇が付きにくくなる
労働基準法第39条は、雇入れの日から6か月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に、有給休暇を与えなければならないと定めている。日数は10日が原則だが、週の所定労働日数が少ない働き方では、日数に応じて減る(比例付与・同条第3項)。週5日で働くのか、週2日で働くのかで、もらえる日数が変わる。

ここでいう使用者は、雇っている派遣会社になる。A社で3か月、B社で3か月働いても、合算はされない。どちらも6か月に届かないので、有給は付かない。
登録するだけなら影響はない。働く先を分散させると、この条件を満たしにくくなる。仕事を受ける会社は絞ったほうがよい、ということになる。
続けた場合はその逆になる。同じ派遣会社で1年6か月以上働くと、継続勤務の年数に応じて有給の日数が加算される(同条第2項)。派遣先が変わっても、雇っている派遣会社が同じなら継続勤務は途切れない。職場を変えても会社を変えなければ、日数は積み上がる。
同じ求人が重複する
複数の会社が同じ施設を扱っていることがある。それぞれから「良い求人があります」と連絡が来て、開けてみると同じ職場だった、ということが起きる。
同じ施設に複数の会社から応募すると、施設側で重複が分かる。話が止まることがあるので、気になる施設が重なったら、派遣元に状況を伝えて、どちらか1社に絞って進めることになる。
なお、派遣先が「この人がいい」と派遣労働者を選ぶ行為は、法律でしないよう努めることとされている(法第26条第6項。紹介予定派遣は除かれる)。そして指針はもっと強い書き方になっている。「派遣先は、紹介予定派遣の場合を除き、(略)労働者派遣に先立って面接すること、派遣先に対して当該労働者に係る履歴書を送付させることのほか、若年者に限ることとすること等 派遣労働者を特定することを目的とする行為を行わないこと」(派遣先が講ずべき措置に関する指針 第2の3)。
建前としては施設が選ぶ仕組みにはなっていない。重複したときに止まるのは、施設が選ぶからではなく、派遣会社どうしで話が付かないためだ。
紹介予定派遣は逆で、面接ができる(条文の括弧書きで外されている)。詳しくは紹介予定派遣の記事で扱っている。
連絡の管理が重くなる
登録すると、各社から求人の連絡が来る。5社に登録すれば5社から来る。どの会社の誰から何を聞いたかが分からなくなると、比べる意味がなくなる。
2〜3社の選び方
数を決めたら、性質の違う会社を選ぶ。同じような会社を3社選んでも、扱う求人が重なるだけになる。
分け方の例を挙げる。
- 規模で分ける——全国に拠点がある会社と、その地域に強い会社
- 勤務先で分ける——介護施設に強い会社と、訪問や単発を扱う会社
- 制度で分ける——無期雇用の枠がある会社と、紹介予定派遣を扱う会社
3つ目は、3年後の選択肢に効いてくる。同じ課で3年働いたあと何を選べるかは、その派遣会社が何を持っているかで決まる。
登録したあとにやること
登録は入口で、比べるのはそこからになる。
2〜3社に同じことを聞いて、答え方を並べる。金額と時期と条件を数字で答えられるか、分からないことを持ち帰って期限どおりに返してくるか。この2つで、働き始めてからの対応がだいたい分かる。
合わないと感じたら、その会社からの紹介を止めてもらえばよい。登録を残したまま連絡を止めることもできる。
出典
- 労働基準法 第39条(年次有給休暇。第1項=6か月・8割で10日、第3項=所定労働日数が少ない場合の比例付与)(e-Gov法令検索・2026年8月24日に条文で再確認)
https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049 - 労働者派遣法 第26条第6項(派遣先による派遣労働者の特定を目的とする行為=努力義務。紹介予定派遣を除く)(e-Gov法令検索・2026年8月24日取得)
https://laws.e-gov.go.jp/law/360AC0000000088


