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大手と地場、どちらに登録するか——20社の実数で見ると、その分け方は成り立たない

編集部公開 2026年8月25日

「大手は求人が多い。地場は親身」。よく言われるが、数字で確かめられている話ではない。

派遣会社には、事業所ごとに数字を公開する義務がある(派遣法23条5項)。その中に派遣労働者の数が入っている。20社ぶん集めて並べた。

求人の数を数えたデータではない。 公開が義務づけられているのは派遣労働者の数のほうで、「求人が多い」という言い方そのものは、このデータでは検証できない。

先に結論を書く。事業所の数と、抱えている人の数は比例しない。 だから「大手か地場か」という分け方では決められない。

事業所の数と、人数は比例しない ニチイ学館 64 事業所 2,249 人 1事業所あたり 35.1 人 レバウェル 7 事業所 30,005 人 1事業所あたり 4,286.4 人 事業所の数はニチイ学館が9倍多く 人数はレバウェルが13倍多い 20社609事業所で見ると 1事業所あたりは 32.7人 〜 4,286.4人 131倍の開きがある(中央は164.4人) 派遣法23条5項で公開が義務づけられている数字
事業所が多い会社が、人数も多いとは限らない。

集めたもの

会社数20社
事業所数609
派遣労働者の数(合計)227,604人

この「事業所」は派遣元の事業所になる。働きに行く施設ではない。

集めた全体は614事業所になる。そこから派遣労働者の数が0と公開されている2社(各1事業所)と、人数が公開されていない3事業所を除いて、20社609事業所になる。マージン率のデータ記事が591事業所なのは、そちらは率まで計算できた事業所に絞っているため。同じ元データで、絞り方が違う。

対象期間は会社ごとに違う(各社が公開しているのは前の事業年度の数字で、18種類に分かれる)。詳しくはマージン率のデータ記事で扱っている。

この20社は医療・介護の専門会社ばかりではない。 事務系が主の会社も入っている。会社全体の数字であって、医療・介護の部分だけの数字ではない。

事業所の数で並べる

会社事業所派遣労働者
株式会社スタッフサービス8992,737
日研トータルソーシング株式会社7620,793
マンパワーグループ株式会社6435,767
株式会社ニチイ学館642,249
株式会社ウィルオブ・ワーク4611,832
株式会社ネオキャリア394,938
株式会社ブレイブ302,489
株式会社メディカル・コンシェルジュ272,268
株式会社ツクイスタッフ233,781
株式会社キャリア233,381
株式会社kotrio214,106
株式会社トライトキャリア173,117
株式会社スーパーナース16947
株式会社ニッソーネット152,679
株式会社ソラスト122,942
株式会社日本教育クリエイト121,644
セントスタッフ株式会社11565
株式会社マックスサポート101,135
レバウェル株式会社730,005
株式会社ベネッセキャリオス7229

表の上と下を見比べる。

事業所が多い=規模が大きい、ではない

64事業所のニチイ学館と、7事業所のレバウェルを比べる。

ニチイ学館レバウェル
事業所647
派遣労働者2,249人30,005人
1事業所あたり35.1人4,286.4人

事業所の数ではニチイ学館が9倍多く、派遣労働者の数ではレバウェルが13倍多い。 多いほうが入れ替わっている。

同じ7事業所でも、レバウェル30,005人に対してベネッセキャリオスは229人になる。事業所の数からは、規模が読めない。

1事業所あたりで並べ直す

会社1事業所あたりの派遣労働者
レバウェル株式会社4,286.4人
株式会社スタッフサービス1,042.0人
マンパワーグループ株式会社558.9人
日研トータルソーシング株式会社273.6人
株式会社ウィルオブ・ワーク257.2人
株式会社ソラスト245.2人
株式会社kotrio195.5人
株式会社トライトキャリア183.4人
株式会社ニッソーネット178.6人
株式会社ツクイスタッフ164.4人(中央)
株式会社キャリア147.0人
株式会社日本教育クリエイト137.0人
株式会社ネオキャリア126.6人
株式会社マックスサポート113.5人
株式会社メディカル・コンシェルジュ84.0人
株式会社ブレイブ83.0人
株式会社スーパーナース59.2人
セントスタッフ株式会社51.4人
株式会社ニチイ学館35.1人
株式会社ベネッセキャリオス32.7人

最小32.7人から最大4,286.4人まで、131倍の開きがある。中央は164.4人になる。

「事業所が多い会社」と「1事業所に多くの人がいる会社」は、別のものになる。

この差が意味すること

ここから先は、数字そのものではなく読み取りになる。

上のほう(1事業所あたりが多い)は、事業所を絞って広い範囲を1つの事業所で担当している形と考えられる。

下のほう(1事業所あたりが少ない)は、事業所が細かく置かれている形になる。近くに事業所がある可能性が高いことになる。

どちらが良いという話ではない。 「大手だから安心」「地場だから親身」という言い方は、この数字のどちらとも結びついていない。

では何を見るか

自分が働きたいエリアに、その会社の事業所があるかになる。

見るものなぜ
働きたい県に事業所があるか仕事を紹介できる範囲は、事業所のある場所に左右される。会社ごとのページで支店のある県を出している
登録に来社が要るか事業所が遠いなら、来社が要る会社は負担になる
その職種を扱っているか会社ごとに得意な職種が違う
勤務先の種類施設・訪問・病院・保育園など、扱う範囲が違う

規模そのものは、直接には効かない。 効くのは「自分の条件に合う仕事を持っているか」になる。

このデータで分からないこと

会社の良し悪しは分からない。 数字は規模を示すだけで、担当者の対応や紹介の質は別になる。

「派遣労働者の数」の数え方は、条文にも施行規則にも定義が置かれていない。 全社が同じ項目を公開しているので会社どうしの比較には使えるが、「いま何人が働いているか」の絶対値としては慎重に見る。

地域別・職種別の内訳は出せない。 公開が義務づけられているのは事業所単位の数字で、県別や職種別の区分が無いため。同じ理由で、この20社のうち医療・介護でどれだけの人が働いているかも分けられない。

出典

  • 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律 第23条第5項(事業所ごとの情報提供義務=派遣労働者の数、労働者派遣の役務の提供を受けた者の数、マージン率など)(e-Gov法令検索・2026年8月25日取得)
    https://laws.e-gov.go.jp/law/360AC0000000088
  • 同法施行規則 第18条の2(情報提供の方法、マージン率の算定方法、提供事項)(e-Gov法令検索・2026年8月25日取得)
    https://laws.e-gov.go.jp/law/361M50002000020
  • 各社が公開している「労働者派遣事業に係る情報提供」(20社609事業所。取得日2026年8月24日。事業所ごとのURL・取得ファイル・ハッシュは編集部で保管)

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