「大手は求人が多い。地場は親身」。よく言われるが、数字で確かめられている話ではない。
派遣会社には、事業所ごとに数字を公開する義務がある(派遣法23条5項)。その中に派遣労働者の数が入っている。20社ぶん集めて並べた。
求人の数を数えたデータではない。 公開が義務づけられているのは派遣労働者の数のほうで、「求人が多い」という言い方そのものは、このデータでは検証できない。
先に結論を書く。事業所の数と、抱えている人の数は比例しない。 だから「大手か地場か」という分け方では決められない。
集めたもの
| 会社数 | 20社 |
|---|---|
| 事業所数 | 609 |
| 派遣労働者の数(合計) | 227,604人 |
この「事業所」は派遣元の事業所になる。働きに行く施設ではない。
集めた全体は614事業所になる。そこから派遣労働者の数が0と公開されている2社(各1事業所)と、人数が公開されていない3事業所を除いて、20社609事業所になる。マージン率のデータ記事が591事業所なのは、そちらは率まで計算できた事業所に絞っているため。同じ元データで、絞り方が違う。
対象期間は会社ごとに違う(各社が公開しているのは前の事業年度の数字で、18種類に分かれる)。詳しくはマージン率のデータ記事で扱っている。
この20社は医療・介護の専門会社ばかりではない。 事務系が主の会社も入っている。会社全体の数字であって、医療・介護の部分だけの数字ではない。
事業所の数で並べる
| 会社 | 事業所 | 派遣労働者 |
|---|---|---|
| 株式会社スタッフサービス | 89 | 92,737 |
| 日研トータルソーシング株式会社 | 76 | 20,793 |
| マンパワーグループ株式会社 | 64 | 35,767 |
| 株式会社ニチイ学館 | 64 | 2,249 |
| 株式会社ウィルオブ・ワーク | 46 | 11,832 |
| 株式会社ネオキャリア | 39 | 4,938 |
| 株式会社ブレイブ | 30 | 2,489 |
| 株式会社メディカル・コンシェルジュ | 27 | 2,268 |
| 株式会社ツクイスタッフ | 23 | 3,781 |
| 株式会社キャリア | 23 | 3,381 |
| 株式会社kotrio | 21 | 4,106 |
| 株式会社トライトキャリア | 17 | 3,117 |
| 株式会社スーパーナース | 16 | 947 |
| 株式会社ニッソーネット | 15 | 2,679 |
| 株式会社ソラスト | 12 | 2,942 |
| 株式会社日本教育クリエイト | 12 | 1,644 |
| セントスタッフ株式会社 | 11 | 565 |
| 株式会社マックスサポート | 10 | 1,135 |
| レバウェル株式会社 | 7 | 30,005 |
| 株式会社ベネッセキャリオス | 7 | 229 |
表の上と下を見比べる。
事業所が多い=規模が大きい、ではない
64事業所のニチイ学館と、7事業所のレバウェルを比べる。
| ニチイ学館 | レバウェル | |
|---|---|---|
| 事業所 | 64 | 7 |
| 派遣労働者 | 2,249人 | 30,005人 |
| 1事業所あたり | 35.1人 | 4,286.4人 |
事業所の数ではニチイ学館が9倍多く、派遣労働者の数ではレバウェルが13倍多い。 多いほうが入れ替わっている。
同じ7事業所でも、レバウェル30,005人に対してベネッセキャリオスは229人になる。事業所の数からは、規模が読めない。
1事業所あたりで並べ直す
| 会社 | 1事業所あたりの派遣労働者 |
|---|---|
| レバウェル株式会社 | 4,286.4人 |
| 株式会社スタッフサービス | 1,042.0人 |
| マンパワーグループ株式会社 | 558.9人 |
| 日研トータルソーシング株式会社 | 273.6人 |
| 株式会社ウィルオブ・ワーク | 257.2人 |
| 株式会社ソラスト | 245.2人 |
| 株式会社kotrio | 195.5人 |
| 株式会社トライトキャリア | 183.4人 |
| 株式会社ニッソーネット | 178.6人 |
| 株式会社ツクイスタッフ | 164.4人(中央) |
| 株式会社キャリア | 147.0人 |
| 株式会社日本教育クリエイト | 137.0人 |
| 株式会社ネオキャリア | 126.6人 |
| 株式会社マックスサポート | 113.5人 |
| 株式会社メディカル・コンシェルジュ | 84.0人 |
| 株式会社ブレイブ | 83.0人 |
| 株式会社スーパーナース | 59.2人 |
| セントスタッフ株式会社 | 51.4人 |
| 株式会社ニチイ学館 | 35.1人 |
| 株式会社ベネッセキャリオス | 32.7人 |
最小32.7人から最大4,286.4人まで、131倍の開きがある。中央は164.4人になる。
「事業所が多い会社」と「1事業所に多くの人がいる会社」は、別のものになる。
この差が意味すること
ここから先は、数字そのものではなく読み取りになる。
上のほう(1事業所あたりが多い)は、事業所を絞って広い範囲を1つの事業所で担当している形と考えられる。
下のほう(1事業所あたりが少ない)は、事業所が細かく置かれている形になる。近くに事業所がある可能性が高いことになる。
どちらが良いという話ではない。 「大手だから安心」「地場だから親身」という言い方は、この数字のどちらとも結びついていない。
では何を見るか
自分が働きたいエリアに、その会社の事業所があるかになる。
| 見るもの | なぜ |
|---|---|
| 働きたい県に事業所があるか | 仕事を紹介できる範囲は、事業所のある場所に左右される。会社ごとのページで支店のある県を出している |
| 登録に来社が要るか | 事業所が遠いなら、来社が要る会社は負担になる |
| その職種を扱っているか | 会社ごとに得意な職種が違う |
| 勤務先の種類 | 施設・訪問・病院・保育園など、扱う範囲が違う |
規模そのものは、直接には効かない。 効くのは「自分の条件に合う仕事を持っているか」になる。
このデータで分からないこと
会社の良し悪しは分からない。 数字は規模を示すだけで、担当者の対応や紹介の質は別になる。
「派遣労働者の数」の数え方は、条文にも施行規則にも定義が置かれていない。 全社が同じ項目を公開しているので会社どうしの比較には使えるが、「いま何人が働いているか」の絶対値としては慎重に見る。
地域別・職種別の内訳は出せない。 公開が義務づけられているのは事業所単位の数字で、県別や職種別の区分が無いため。同じ理由で、この20社のうち医療・介護でどれだけの人が働いているかも分けられない。
出典
- 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律 第23条第5項(事業所ごとの情報提供義務=派遣労働者の数、労働者派遣の役務の提供を受けた者の数、マージン率など)(e-Gov法令検索・2026年8月25日取得)
https://laws.e-gov.go.jp/law/360AC0000000088 - 同法施行規則 第18条の2(情報提供の方法、マージン率の算定方法、提供事項)(e-Gov法令検索・2026年8月25日取得)
https://laws.e-gov.go.jp/law/361M50002000020 - 各社が公開している「労働者派遣事業に係る情報提供」(20社609事業所。取得日2026年8月24日。事業所ごとのURL・取得ファイル・ハッシュは編集部で保管)


