連絡が多い。もう使わない会社に登録が残っている。名前と経歴を持たれたままなのが気になる。
ここで混ざりやすいのは、「やめる」に3つの手続きが混ざっていることになる。雇用契約の終了・登録の抹消・個人データの消去は、それぞれ別に動く。
雇用契約が終わっても、登録と個人データは自動では終わらない。 順に見ていく。
1. 雇用契約の終了
いま働いているなら、これが先になる。
- 満了で終える——期間が来て、更新しない
- 合意して終える——期間の途中でも、話がつけば終われる
働いていない期間なら、そもそも雇用契約は無い。登録だけが残っている状態になる。
登録型の派遣は、仕事が決まったときに雇用契約を結ぶ形が多い。就業していない間は「登録している人」であって「雇われている人」ではない。
詳しくは、契約の途中で辞める場合の記事で扱っている。
2. 登録の抹消
仕事の紹介を止める手続きになる。
法律に決まった手続きは無い。 派遣会社ごとにやり方が違う。次のどれかになる。
| マイページ | 退会や登録削除のメニューがある会社 |
|---|---|
| 担当者に伝える | 電話・メール・アプリのメッセージ |
| 問い合わせ窓口 | 担当者と話したくないときはここ |
| 個人情報の窓口 | 退会のメニューが見つからないとき。会社のプライバシーポリシーに、開示等の請求先が書かれている |
書面でなくてよい。ただし、言った記録は残す。メールやアプリの履歴なら、日付ごと残る。
言い方
理由を細かく説明する必要はない。
登録を抹消してください。今後の求人の連絡も不要です。
引き止められたときも、理由を述べる義務は無い。同じ言葉を繰り返せば足りる。
3. 個人データの消去
ここが登録の抹消とは別になる。登録を消したつもりでも、データが残っていることがある。
先に言葉を1つ。請求の対象になるのは「保有個人データ」になる。会社が持っていて、本人の求めに応じて開示や消去などができる立場にあるデータをいう。提出した履歴書の原本を返してもらう話とは別になる。
請求できる、と法律に書いてある
個人情報の保護に関する法律に、こういう条文がある。
本人は、個人情報取扱事業者に対し、当該本人が識別される保有個人データを当該個人情報取扱事業者が利用する必要がなくなった場合、(略)当該保有個人データの利用停止等又は第三者への提供の停止を請求することができる。
(同法第35条第5項)
「利用する必要がなくなった場合」が根拠になる。もう紹介を受ける気がないなら、その会社がデータを持ち続ける必要は無い、ということになる。
そして請求に理由があると判明したときは、事業者は遅滞なく利用停止等を行わなければならない(同条第6項)。
ただし条文にはただし書がある。多額の費用を要する場合など、行うことが困難な場合は、代わりの措置をとることが認められている。
請求しなくても、消す努力義務がある
もう1つ、別の条文がある。
個人情報取扱事業者は、利用目的の達成に必要な範囲内において、個人データを正確かつ最新の内容に保つとともに、利用する必要がなくなったときは、当該個人データを遅滞なく消去するよう努めなければならない。
(同法第22条)
こちらは努力義務(「努めなければならない」)になる。請求したときに動く35条とは強さが違う。
結果は通知される
利用停止等を行ったとき、または行わない旨を決定したときは、本人に遅滞なく通知しなければならない(同法第35条第7項)。
そして、措置をとらない旨を通知する場合は、その理由を説明するよう努めなければならない(同法第36条)。
「何も返事が来ない」は、条文の想定していない状態になる。返事が無ければ、もう一度請求する。
派遣会社が負う、個人情報の義務
派遣法にも、個人情報についての条文がある。
| 中身 | 条文 | |
|---|---|---|
| 収集・保管・使用の範囲 | 業務の目的の達成に必要な範囲内で。保管・使用も収集の目的の範囲内。ただし本人の同意がある場合その他正当な事由がある場合を除く | 派遣法24条の3第1項 |
| 管理 | 適正に管理するために必要な措置を講じる | 同条2項 |
| 秘密を守る義務 | 正当な理由がなければ、業務上知り得た秘密を漏らしてはならない。担当者などがその会社を離れた後も同じ | 同法24条の4 |
「必要な範囲内」で保管すると書かれている。紹介を受ける気が無くなったあとも持ち続けることが、この範囲に入るのか——という話につながる。
連絡だけ止めたいとき
登録は残したいが、連絡が多い、という場合もある。
- 連絡の頻度と手段を指定する(「メールのみ」「月1回まで」など)
- 希望する条件を絞る(合わない求人が減る)
- メールマガジンの配信停止(登録の抹消とは別のことが多い)
「求人の連絡が止まる」ことと「登録が消える」ことは別になる。どちらをしたいのかを、はっきり伝える。
順番
1. 働いているなら、雇用契約の終わり方を決める(満了か、合意か)
2. 登録の抹消を申し出る。記録が残る手段で
3. あわせて、個人データの消去も請求する(35条5項)
4. 通知が来るか確かめる。来なければ、もう一度言う
2と3を1回で伝えてよい。「登録を抹消し、保有している個人データも消去してください」と書けば足りる。
消してもらえないとき
先に、手元にそろえておく。
1. いつ請求したか(日付)
2. 何と書いて請求したか(文面。メールなら原文が残る)
3. 返事の内容、または返事が無いこと
4. 断られたなら、その理由
条文が「遅滞なく」「通知しなければならない」と書いている以上、日付と文面が材料になる。
そのうえで、次に相談する。
- 個人情報保護委員会——個人情報の取扱いに関する相談窓口がある
- 都道府県労働局の需給調整事業を担当する窓口——派遣会社の個人情報の取扱い(派遣法24条の3)に関わること。部署の名前は労働局によって違う
どちらに出すかは、何を問題にしているかで決まる。データの取扱いそのものなら前者、派遣会社としての義務違反なら後者になる。
出典
- 個人情報の保護に関する法律 第22条(データ内容の正確性の確保等)、第35条第5項・第6項・第7項(利用停止等の請求、事業者の対応、通知)、第36条(理由の説明)(e-Gov法令検索・2026年8月25日取得)
https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000057 - 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律 第24条の3(個人情報の取扱い)、第24条の4(秘密を守る義務)(e-Gov法令検索・2026年8月25日取得)
https://laws.e-gov.go.jp/law/360AC0000000088


