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働き始めてから

3年ルールと抵触日——いつまで働けて、そのあと何が起きるか

編集部公開 2026年8月22日

派遣の「3年ルール」は2つある。事業所に対する3年と、働く本人に対する3年で、延長できるかどうかが違う。

事業所に対するほうは、手続きを踏めば延長できる。本人に対するほうは延長できない。同じ課で3年働いたら、そこでは続けられない。

3年目に選べる道は、いま登録している派遣会社が何を持っているかで決まる。期限は自動では延びない。

2つの3年を分ける

事業所単位の期間制限(労働者派遣法第40条の2)

派遣先は、同じ事業所で3年を超えて派遣を受け入れられない。ただしこれは延長できる。延長するには、抵触日の1か月前までの期間に、その事業所の過半数労働組合(または労働者の過半数代表者)の意見を聴く必要がある。3年を限りに延長でき、さらに延ばすときも同じ手続きを繰り返す。

意見を聴かれた側が異議を述べた場合、派遣先は延長の理由などを説明しなければならない。ただし、異議があっても延長そのものはできる。

個人単位の期間制限(同法第40条の3)

同じ人が、同じ事業所の同じ組織単位で3年を超えて働くことはできない。こちらに延長の手続きはない。

組織単位とは、いわゆる「課」にあたるまとまりのこと。同じ施設でも別の課に移れば、そこから改めて3年になる。

上限延長
事業所単位3年できる(過半数代表者の意見聴取)
個人単位(同じ課)3年できない
事業所単位の3年 最初の派遣を受け入れた日から 抵触日 延長できる 最初の人が入った日 あなたの3年 あなたが働き始めた日から あなたが入った日 あなたの上限 延長できない 途中から入ると、事業所の抵触日が先に来る。 自分の3年が残っていても、そこで契約が切れることがある。

抵触日は、通知される

抵触日とは、期間制限に触れることになる最初の日のこと。3年働ける最後の日の翌日にあたる。

派遣先が事業所単位の期間を延長したときは、速やかに派遣会社へ抵触日を通知しなければならない(第40条の2第7項)。派遣会社はそれを踏まえて契約を組む。

つまり抵触日は、本人が計算して見つけるものではなく、契約書や就業条件明示書に書かれている日付になる。手元の書類で確認できる。

3年目に選べる道

派遣会社には雇用安定措置の義務がある(第30条)。同じ組織単位で1年以上働く見込みの人に対して、次のような措置を講じるよう努めなければならない。

  • 派遣先に対して、直接雇用の申し込みをするよう求めること
  • 別の派遣先を紹介すること(本人の能力や経験に照らして合理的な条件のもの)
  • 派遣会社自身が、派遣以外の形で雇うこと など

3年働く見込みの人については、これが努力義務ではなく義務になる。条文は「講ずるように努めなければならない」を「講じなければならない」と読み替えると定めている。

選べる道は実際には4つになる。

1. 派遣先に直接雇用してもらう

2. 同じ派遣会社で無期雇用に切り替える

3. 同じ施設の別の課に移る(組織単位が変われば3年が改めて始まる)

4. 別の派遣先に移る

どれを選べるかは、派遣会社が何を持っているかで変わる。無期雇用の枠がない会社では2は選べない。紹介予定派遣を扱っていない会社では1が通りにくい。3年目に選択肢を確保したいなら、登録の時点でその2つを聞いておくことになる。

派遣先の側にもある2つの義務

3年目の交渉で使える条文が2つある。

1年以上働いた人の優先雇用(第40条の4)

同じ組織単位の同じ業務で1年以上受け入れた派遣労働者がいて、その業務のために新しく人を雇おうとするとき、派遣先はその人を遅滞なく雇い入れるよう努めなければならない。継続して働くことを希望している場合に限られる。

募集情報の周知(第40条の5)

同じ事業所で1年以上受け入れている場合、その事業所で正社員(通常の労働者)の募集を行うときは、募集の内容——仕事の中身、賃金、労働時間など——をその派遣労働者に周知しなければならない。

つまり、直接雇用の募集が出ているのに知らされない、という状態は制度上想定されていない。募集を見かけない場合、周知の義務があることを前提に確認できる。

無期転換は、別のルール

混同されやすいので分けておく。

無期転換は労働契約法第18条の話で、同じ使用者との有期労働契約が通算5年を超えたとき、本人が申し込めば期間の定めのない契約に変わる。使用者は断れない(申込みを承諾したものとみなされる)。

ここでいう「同じ使用者」は、雇っている派遣会社を指す。派遣先ではない。派遣先が3年で変わっても、同じ派遣会社との契約が続いていれば通算される。

  • 3年ルール=派遣先で働ける期間の上限(派遣法)
  • 5年の無期転換=派遣会社との契約が無期に変わる仕組み(労働契約法)

無期になっても、働く場所が保証されるわけではない。契約期間の定めがなくなる、という意味になる。

いま確認しておくこと

3年目が近づいてから動くと選択肢が減る。契約書を見て、次の3つを確認しておくことになる。

  • 抵触日はいつか(書類に書かれている)
  • いまの派遣会社に無期雇用の制度があるか
  • その会社が紹介予定派遣を扱っているか

派遣会社に登録する前に聞く12の質問 →

出典

  • 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律 第30条(雇用安定措置)、第40条の2(事業所単位の期間制限と延長)、第40条の3(個人単位の期間制限)、第40条の4(優先雇用の努力義務)、第40条の5(募集情報の周知)(e-Gov法令検索・2026年8月22日取得)
    https://laws.e-gov.go.jp/law/360AC0000000088
  • 労働契約法 第18条(有期労働契約の無期労働契約への転換)(e-Gov法令検索・2026年8月22日取得)
    https://laws.e-gov.go.jp/law/419AC0000000128

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