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看護師の派遣は、病院では働けない——法律の線と、実際に働ける場所

編集部公開 2026年8月22日

病院・診療所・助産所・介護老人保健施設・介護医療院と、利用者の自宅では、看護師は派遣で働けない。法律で決まっているので、どの派遣会社を探しても求人は出てこない。

働けるのは、特別養護老人ホームなどの介護施設、保育園、障害福祉の事業所、健診などの単発、それに訪問入浴。病院で働きたい場合は、紹介予定派遣という別の枠がある。

なぜ病院の看護師派遣が見つからないのか

労働者派遣法は、いくつかの業務について派遣そのものを禁じている。港湾運送、建設、警備、そして「政令で定める業務」の4つ。この4つ目に医療関係の業務が入っている(労働者派遣法第4条第1項第3号)。

中身は労働者派遣法施行令第2条第1項にある。医療関係の業務が8つ並んでいて、その4番目が保健師・助産師・看護師・准看護師の業務にあたる。

禁止されているのは資格そのものではない。決められた場所でその業務をすることが禁止されている。だから場所が変われば働ける。

制度の趣旨としては、医療は医師を中心に複数の専門職がその場で連携して行うものだと説明されている。雇い主が外部にいる派遣の形は、そこと噛み合わないという整理になっている。

求人が見つからないのは、条件の付け方や経験年数の問題ではない。制度として存在しないので、探し方を変えても出てこない。

働けない場所と、対象になる資格

施行令が挙げている場所は次のとおり。看護師・准看護師の場合、ここでの業務が禁止される。

働けない場所補足
病院
診療所(クリニック)
助産所
介護老人保健施設(老健)介護施設だが対象に入る
介護医療院
利用者の居宅(自宅)訪問入浴は除かれる(後述)

このほか、オンライン診療を受けるための施設も条文に挙がっている。

間違えやすいのは老健と特養の違い。介護老人保健施設(老健)は施行令に名前があるので働けない。特別養護老人ホーム・有料老人ホーム・グループホームは名前がないので働ける。

どちらも「介護施設」と呼ばれ、名前も似ている。求人を見るときは、施設の正式な種類を確認することになる。

対象になる資格は看護師だけではない。施行令が挙げているのは、医師(医業)、歯科医師(歯科医業)、薬剤師(調剤)、保健師・助産師・看護師・准看護師、栄養士(療養のための栄養指導)、歯科衛生士、診療放射線技師、歯科技工士。

さらに条文は、他の法律で「診療の補助」として認められている業務も含むと書いている。理学療法士・作業療法士(理学療法士及び作業療法士法第15条第1項)、言語聴覚士(言語聴覚士法第42条)、視能訓練士(視能訓練士法第17条第2項)、臨床検査技師、臨床工学技士がこれにあたる。

つまりリハビリ職も、病院・診療所・老健・介護医療院・居宅では派遣で働けない。看護師だけの話ではない。

逆に、看護助手・医療事務・調剤事務は資格が要る業務ではない。だから病院でも派遣で働ける。医療機関で働くこと自体が禁止されているわけではない。

看護師に使える例外は3つ

例外は施行令の条文の中に書かれている。よく「4つの例外」と紹介されるが、看護師に使えるのは3つ。残る1つは医師だけが対象になる。

1. 紹介予定派遣

いずれ派遣先に直接雇用されることを前提にした派遣。病院・診療所でもこの形なら働ける。看護師が病院で働きたい場合、実際に選べるのはこれだけになる。

2. 産前産後休業・育児休業の代わりに入る場合

派遣先で働いている人が産前産後休業(労働基準法第65条第1項・第2項)や育児休業を取るあいだ、その業務を引き継ぐ形(労働者派遣法第40条の2第1項第4号)。

3. 介護休業の代わりに入る場合

同じく、介護休業を取る人の業務を引き継ぐ形(同項第5号)。

4. へき地

就業する場所が、離島振興法や過疎地域の法律などで指定された地域を含む市町村にある場合。対象の市町村は厚生労働省令で決まっている。看護師・准看護師はこの例外に含まれる。

このほかに「地域の医療を確保するために必要と認められる場所」という例外もある。ただしこちらは医業(医師)だけが対象で、看護師には使えない。

では、どこで働けるのか

施行令に名前が挙がっていない場所なら、派遣で働ける。

介護施設(特養・有料老人ホーム・グループホーム)

看護師の派遣で最も求人が多い。夜勤の有無で条件が大きく変わるので、日勤のみを希望する場合は先に確認することになる。医療行為の範囲も施設によって違う。

保育園

看護師が1人だけ配置されている園が多い。医療行為より、園児の健康管理・記録・保護者への対応が中心になる。1人配置だと園内に相談できる相手がいない。就業前に配置人数を聞いておくと判断しやすい。

障害福祉の事業所

医療的ケアをどこまで行うかが事業所ごとに大きく違う。喀痰吸引や経管栄養の有無、対応する利用者の年齢層を確認することになる。

単発(健診・イベント・ワクチン接種)

1日単位の仕事。ただし日雇い派遣は原則として禁止されている。働けるのは条件に当てはまる人だけになる。60歳以上、昼間の学生、一定の収入がある人などが対象で、証明書類も要る。

単発で働けるのは誰か →

訪問入浴

利用者の自宅で行う仕事だが、訪問入浴介護と介護予防訪問入浴介護は条文で明確に除かれている。居宅であっても、この業務なら派遣で働ける。

なお、訪問看護は居宅で行う看護師の業務にあたるため、派遣では働けない。同じ「自宅に行く仕事」でも扱いが分かれる。

病院で働きたい場合

選べるのは紹介予定派遣になる。一定期間を派遣として働き、そのあと病院と本人の双方が合意すれば直接雇用に切り替わる形。

通常の派遣と違う点が3つある。

期間の上限は6か月。同じ人について6か月を超えて紹介予定派遣を行うことはできない(派遣元指針・派遣先指針)。だらだら延びることはなく、その時点でどちらかに決まる。

選考にあたる行為が認められている。通常の派遣では、派遣先が働く人を特定する目的の面接や履歴書の送付はできない。紹介予定派遣ではこれができる。就業前に面接があり、履歴書を出すことになる。先に職場を見られる一方、こちらも見られる。

雇わない理由を聞ける。派遣先が直接雇用しなかった場合、派遣労働者が求めれば、派遣会社は派遣先に理由の明示を求めなければならない。示された理由は、本人に書面で伝えられる。

必ず直接雇用になるとは限らない。合意に至らなければ期間の満了で終わる。直接雇用になったときの雇用形態(正職員か契約職員か)と給与の条件は、派遣で働き始める前に確認しておくことになる。

なお紹介予定派遣を行うには、派遣会社が職業紹介事業の許可か届出を持っている必要がある。扱っている会社は限られる。

出典

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