「契約が終わり」と言われたとき、まず確かめることがある。終わったのがどの契約か。
派遣には契約が2つあり、混同すると事態を大きく見誤る。派遣先での仕事がなくなっても、派遣会社との雇用が終わったとは限らない。
ここを分けたうえで、いつ知らされるか、そのあと会社が何をすべきかを見ていく。
契約は2つある
| 誰と誰の契約か | これが終わると | |
|---|---|---|
| 労働者派遣契約 | 派遣会社と派遣先 | その職場での仕事がなくなる |
| 雇用契約 | 派遣会社とあなた | 派遣会社に雇われている状態が終わる |
あなたが結んでいるのは下の雇用契約だけ。上の契約の当事者ではない。
だから、派遣先との契約が切れても、雇用契約が残っていれば給与の話が続く。逆に雇用契約まで終われば、そこで雇用が切れる。この2つは同時とは限らない。
登録型(仕事があるときだけ契約する形)だと2つがほぼ同時に終わるので、混ざって見える。無期雇用派遣なら、派遣先が変わっても雇用契約は続く。
更新されないこと自体は、原則として違法ではない
有期の契約は、期間が来れば終わる。それが契約どおりだからになる。
ただし例外がある。反復して更新されてきた場合や、更新されると期待する合理的な理由がある場合、会社が更新を拒むには「客観的に合理的な理由」と「社会通念上の相当性」が要る(労働契約法第19条)。これを欠くときは、同じ条件で更新を承諾したものとみなされる。
つまり「期間が来たから終わり」が常に通るわけではない。何度も更新してきた人には、この条文が効く場合がある。
期間満了のとき——30日前までに知らせる決まりがある
3回以上更新しているか、雇入れの日から1年を超えて継続勤務している人については、契約期間の満了する日の30日前までに予告しなければならない(有期労働契約の締結、更新、雇止め等に関する基準・第2条)。
ただし、あらかじめ「更新しない」と示されていた契約は除かれる。最初から1回きりと決まっていた契約は、予告の対象にならない。
裏を返すと、更新が2回以下で働いた期間が1年以下なら、30日前の予告の義務はない。
ただし予告の義務がないことと、雇止めが有効かどうかは別になる。予告が要らない人でも、上の労働契約法第19条に当たることはある。
理由は書面でもらえる
予告を受けた人が理由について証明書を請求したときは、遅滞なく交付しなければならない(同基準・第3条第1項)。更新されなかったあとに請求した場合も同じ(同条第2項)。
対象は予告の対象になる人(3回以上更新、または1年超)。誰でも請求できるわけではない。
理由を聞くのは責めるためではない。次の紹介を受けるときに使う。業務量が減ったのか、自分の働き方に理由があるのかで、次に何を直すかが変わる。

期間の途中で終わるとき
ここでも2つに分けて見る。
派遣先との契約が途中で解除された場合、派遣先は次の3つを講じなければならない(労働者派遣法第29条の2)。
- 新しい就業の機会を確保すること
- 派遣会社が休業手当を払うのに要する費用を負担すること
- そのほか、雇用の安定を図るために必要な措置
派遣会社の側は、まず別の派遣先を探す。見つからない間は休業として扱い、平均賃金の6割以上の休業手当を払うことになる(労働基準法第26条)。雇用契約は続いているので、この形が取れる。
雇用契約まで終わらせる場合は、それは解雇になる。解雇には別の決まりがあり、少なくとも30日前の予告か、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)が要る(同法第20条)。
「派遣先を切られた」と「クビになった」は違う。前者なら休業手当、後者なら解雇の手続きになる。どちらの話をされているのかを確かめる。
派遣終了だけを理由に、解雇はできない
指針が、はっきり書いている。
派遣元事業主は、(略)労働者派遣が終了した場合において、当該労働者派遣の終了のみを理由として当該労働者派遣に係る無期雇用派遣労働者を解雇してはならないこと。
(派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針 第2の2(4)イ)
有期雇用でも同じになる。「労働契約が継続しているときは、当該労働者派遣の終了のみを理由として当該有期雇用派遣労働者を解雇してはならないこと」(同ロ)。
派遣先との契約が終わったことと、派遣会社があなたを雇い続けることは、別の話になる。
中途解除のとき、何がどの順で行われるか
指針は順番まで定めている。
| # | 誰が | 何をする |
|---|---|---|
| 1 | 派遣先 | 契約を結ぶときに、中途解除の場合の措置を定めなければならない(派遣先指針 第2の6(1)イ) |
| 2 | 派遣先 | 解除しようとするときは、相当の猶予期間をもって派遣元に申し入れる(同(2)) |
| 3 | 派遣先 | 関連会社での就業をあっせんするなどして、新たな就業機会の確保を図る(同(3)) |
| 4 | 派遣元 | 派遣先と連携し、あっせんを受ける/自社で他の派遣先を確保する(派遣元指針 第2の2(3)) |
| 5 | 派遣元 | それができない場合は、まず休業を行って雇用の維持を図り、休業手当を払う(同) |
| 6 | 派遣先 | 就業機会を確保できないときは、休業手当に相当する額以上の損害賠償を行う(派遣先指針 第2の6(4)) |
| 7 | 派遣元 | やむを得ず解雇する場合も、解雇予告・解雇予告手当などの責任を果たす(派遣元指針 第2の2(3)) |
「解雇」は最後になる。 その前に、就業機会の確保と休業が置かれている。
派遣先が予告なく解除した場合、派遣元が解雇の予告をしないときは30日分以上の賃金に相当する額以上を、派遣先が損害賠償することとされている(派遣先指針 第2の6(4))。
この順番を知っていると、いまどの段階なのかが分かる。いきなり「今日で終わりです」と言われたなら、2と3が飛ばされていることになる。
同じ課で長く働いている人には、会社に措置の義務がある
同じ組織単位(いわゆる課)で働き続ける見込みの人には、派遣会社が次のいずれかを講じることになっている(労働者派遣法第30条)。対象は有期雇用の派遣労働者になる。
| あなたの状況 | 会社がすべきこと |
|---|---|
| 継続して1年以上働く見込み | 下の4つのいずれかを講じるよう努める(努力義務) |
| 同じ課で3年間働く見込み | 下の4つのいずれかを講じなければならない(義務) |
4つの選択肢は次のとおり。
1. 派遣先に、あなたを直接雇うよう申し込むことを求める
2. 別の派遣先を紹介する(能力や経験に照らして合理的な条件のもの)
3. 派遣ではない形で、期間を定めずに雇う
4. そのほか、雇用の安定に役立つ教育訓練など
1を求めても派遣先が断ることはある。その場合は別の措置に移ることになる。1つ試して終わりではない。
言われたときに聞くこと
1. 終わるのはどちらの契約か(派遣先との契約か、雇用契約か)
2. 満了か、途中か(就業条件明示書の終了日と照らす)
3. 理由(対象者なら証明書を出してもらえる)
4. 途中で終わるなら、休業手当が出るか。それとも解雇か
5. 同じ課で1年以上働いているなら、雇用安定措置のどれを取るのか
納得できないとき
派遣会社に言っても動かないときは、公的な窓口がある。
- 総合労働相談コーナー(各都道府県の労働局・労働基準監督署内)=あらゆる労働問題の入口。無料
- 労働基準監督署=休業手当や解雇予告手当が払われないなど、労働基準法に関わること
- 都道府県労働局の需給調整事業部(課)=派遣法に関わること(雇用安定措置を取らない、など)
どこに行くかは、何の法律の話かで決まる。賃金や解雇の手続きは労働基準法、派遣の仕組みに関わることは労働者派遣法になる。
出典
- 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律 第29条の2(労働者派遣契約の解除に当たつて講ずべき措置)、第30条(特定有期雇用派遣労働者等の雇用の安定等)(e-Gov法令検索・2026年8月24日取得)
https://laws.e-gov.go.jp/law/360AC0000000088 - 厚生労働省「派遣先が講ずべき措置に関する指針」第2の6(労働者派遣契約の解除に当たって講ずべき措置。(1)契約締結時に定める措置、(2)事前の申入れ、(3)派遣先における就業機会の確保、(4)損害賠償等)(2026年8月25日取得)
https://www.mhlw.go.jp/content/000717005.pdf - 厚生労働省「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」第2の2(3)(解除に当たって講ずべき措置=就業機会の確保→休業→解雇の順)、第2の2(4)(派遣終了のみを理由とする解雇の禁止。イ=無期雇用、ロ=有期雇用)(2026年8月25日取得)
https://www.mhlw.go.jp/content/000920084.pdf - 労働基準法 第20条(解雇の予告)、第26条(休業手当)(e-Gov法令検索・2026年8月24日取得)
https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049 - 労働契約法 第19条(有期労働契約の更新等)(e-Gov法令検索・2026年8月24日取得)
https://laws.e-gov.go.jp/law/419AC0000000128 - 有期労働契約の締結、更新、雇止め等に関する基準(平成15年10月22日 厚生労働省告示第357号)第2条(雇止めの予告)・第3条(雇止めの理由の明示)(厚生労働省・2026年8月24日に条文で確認)
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=73aa5469&dataType=0&pageNo=1


