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契約が終わったあとの失業給付——「更新を希望した」かどうかで変わる

編集部公開 2026年8月25日

派遣の契約が終わった。次が決まっていない。このとき受け取れるのが、雇用保険の基本手当(いわゆる失業給付)になる。

派遣で知っておくべきなのは、離職の理由で条件が大きく変わることになる。しかもその分かれ目は、「更新を希望したかどうか」にある。

離職の理由で、必要な期間が変わる 満了で、更新なし 更新を希望したのに 合意に至らなかった 1年間に6か月 給付制限なし 待期7日のあと受け取れる 自分の都合で辞めた 正当な理由がない場合 2年間に12か月 給付制限あり 待期のあと1〜3か月 被保険者期間の数え方 賃金の支払いの基礎になった日が 11日以上ある月を、1か月と数える 足りないときは、80時間以上の月も数える 出勤日数が少ない月は、1か月に数えられない
離職の理由で、必要な被保険者期間と給付制限が変わる。

その前に——雇用保険に入っていたか

給付は雇用保険の被保険者だった人が対象になる。派遣でも、加入していないことがある。

加入の条件
週の所定労働時間20時間以上
雇用の見込み同一の事業主に31日以上

(雇用保険法6条1号・2号の裏返し)

給与明細に「雇用保険料」の行があれば加入している。無ければ、まずそこを確かめる。

原則の条件

基本手当は、被保険者が失業した場合において、離職の日以前二年間(略)に、次条の規定による被保険者期間が通算して十二箇月以上であつたときに(略)支給する。

(雇用保険法第13条第1項)

期間離職の日以前2年間
必要な被保険者期間通算12か月以上

特定理由離職者なら、1年内に6か月でよい

同じ条文の第2項が、条件を緩めている。

特定理由離職者及び(略)に対する前項の規定の適用については、同項中「二年間」とあるのは「一年間」と、(略)「十二箇月」とあるのは「六箇月」とする。

(同条第2項)

期間離職の日以前1年間
必要な被保険者期間通算6か月以上

では、誰が特定理由離職者になるのか。ここが派遣に直結する。

前項の特定理由離職者とは、離職した者のうち(略)期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないこと(その者が当該更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が成立するに至らなかつた場合に限る。)その他のやむを得ない理由により離職したものとして厚生労働省令で定める者をいう。

(同条第3項)

「更新を希望したにもかかわらず」が条件になっている。

つまり、自分から「更新しません」と言った場合は、これに当たらないことになる。同じ「契約満了」でも、扱いが変わる。

更新を希望する意思は、伝えて記録に残しておくことになる。メールやアプリの履歴が材料になる。

給付制限があるかどうか

もう1つ大きな差が出る。

被保険者が自己の責めに帰すべき重大な理由によつて解雇され、又は正当な理由がなく自己の都合によつて退職した場合には、(略)一箇月以上三箇月以内の間で公共職業安定所長の定める期間は、基本手当を支給しない。

(雇用保険法第33条第1項)

自己都合なら、待期のあとさらに1〜3か月待つことになる。特定理由離職者には、この制限がかからない。

条文にただし書がある。公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける期間などは、この限りでない(同項各号)。

待期は7日

理由にかかわらず、最初に7日ある。

基本手当は、受給資格者が(略)離職後最初に公共職業安定所に求職の申込みをした日以後において、失業している日(略)が通算して七日に満たない間は、支給しない。

(雇用保険法第21条)

起点は「求職の申込みをした日」になる。離職した日ではない。ハローワークに行くのが遅れれば、その分だけ後ろにずれる。

被保険者期間の数え方

「12か月」「6か月」は、単純に働いた月数ではない。

被保険者期間は、被保険者であつた期間のうち(略)賃金の支払の基礎となつた日数が十一日以上であるものに限る)を一箇月として計算し、その他の期間は、被保険者期間に算入しない。

(雇用保険法第14条第1項)

1か月と数えられる月賃金の支払いの基礎になった日が11日以上
11日未満の月数えない。ただし下記の救済がある

シフトが少ない月は、1か月に数えられないことになる。「1年働いた」と思っていても、被保険者期間は12か月に届かないことがある。

足りないときの救済

前二項の規定により計算された被保険者期間が十二箇月(略)に満たない場合における第一項の規定の適用については、(略)「又は賃金の支払の基礎となつた時間数が八十時間以上であるもの」(略)とする。

(同条第3項)

11日に届かない月でも、80時間以上働いていれば数えられる。ただしこれは12か月(または6か月)に足りない場合の救済になる。

1日8時間なら10日で80時間になる。短時間で日数を多く働く形より、長時間で日数が少ない形のほうが救われやすい、という関係になる。

受け取れる期間には期限がある

一 (略)当該基本手当の受給資格に係る離職の日(以下この款において「基準日」という。)の翌日から起算して一年

(雇用保険法第20条第1項第1号)

離職の日の翌日から1年が原則になる。この期間内の失業している日についてしか支給されない。

手続きが遅れると、所定給付日数を使い切れないことがある。 90日ぶんの資格があっても、残り2か月しかなければ2か月ぶんで終わる。

妊娠・出産・育児などで引き続き30日以上職業に就けないときは、申し出れば期間を加算できる(最長4年。同項)。

何日ぶん受け取れるか

ここで使うのは算定基礎期間になる。受給資格を見る「被保険者期間」とは別のものなので、混ぜない。

何を見るか何に使うか
被保険者期間賃金支払基礎日数11日以上の月を1か月と数える受給資格があるか(12か月/6か月)
算定基礎期間被保険者として雇用された期間そのもの何日ぶんもらえるか

算定基礎期間で決まる日数は次のとおり。

算定基礎期間所定給付日数
10年未満90日
10年以上20年未満120日
20年以上150日

(雇用保険法第22条第1項。就職が困難な人には別の日数がある=同条2項)

特定受給資格者(倒産・解雇など)には、年齢と期間に応じた別の日数が定められている(同法23条)。日数が多くなる。

契約満了でも、特定受給資格者のほうに当たる場合がある。 長く更新を重ねてきた場合や、更新されることが明示されていた契約の雇止めなどが議論になる。どの区分に当たるかはハローワークが判断するので、契約書と更新の経緯を持って相談することになる。

手続きの流れ

1. 離職票を受け取る(派遣会社が発行する)

2. ハローワークで求職の申込みをする(待期の起点)

3. 待期7日

4. (自己都合なら)給付制限1〜3か月

5. 4週間に1回の失業の認定を受ける(雇用保険法15条3項)

6. 認定された日について支給される

離職票が届くのを待っている間も、求職の申込みはできない。離職票がなかなか来ないときは、派遣会社に催促することになる。

1日いくら受け取れるか(基本手当日額)は、この記事では書かない。 離職前の賃金をもとに計算され、給付率にも上限額・下限額にも毎年の改定があるため。手続きのときにハローワークで示される。

派遣で気をつけること

1. 離職理由の記載を見る

離職票には、派遣会社が書いた離職理由が記載される。

この記載が「自己都合」になっていると、給付制限が付くことになる。更新を希望していたのに自己都合とされていたら、ハローワークで異議を申し立てられる。

判定するのはハローワークになる。会社の記載だけで決まるわけではない。

2. 複数の派遣会社で働いていた場合

被保険者期間は「同一の事業主」ごとに数えるのではなく、被保険者であった期間を通算する(14条)。ただし前に受給資格を得ていれば、その離職の日以前の期間は含めない(同条2項1号)。

ここは自分で判断せず、ハローワークで確認する。

3. 次の派遣が決まっている場合

失業していなければ、給付は出ない。 基本手当は「失業している日」について支給される(15条1項)。

次の就業が決まっているなら、まずそちらが先になる。

出典

  • 雇用保険法 第13条(受給要件。第1項=2年間に12か月、第2項=特定理由離職者等は1年間に6か月、第3項=特定理由離職者の定義)、第14条(被保険者期間。第1項=賃金支払基礎日数11日以上、第3項=80時間以上の特例)、第15条(失業の認定。第1項・第3項)、第21条(待期7日)、第20条第1項(受給期間=離職の日の翌日から1年)、第22条第1項(所定給付日数)、第33条第1項(給付制限1か月以上3か月以内)(e-Gov法令検索・2026年8月25日取得)
    https://laws.e-gov.go.jp/law/349AC0000000116
  • ハローワークインターネットサービス「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」(2026年8月25日取得)
    https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_range.html

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