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働き始めてから

紹介予定派遣のしくみ——面接ができる唯一の派遣

編集部公開 2026年8月25日

働いてみてから、直接雇用に切り替える。それを最初から予定している派遣を、紹介予定派遣という。

ひとことで言うと、派遣会社が職業紹介も行う(または行う予定で行う)派遣になる。条文の定義はこうなっている。

(労働者派遣法第2条第4号)

派遣+職業紹介という組み合わせになる。

条文に「職業安定法その他の法律の規定による許可を受けて、又は届出をして」とある。つまり派遣会社は、派遣の許可とは別に、職業紹介の許可か届出も持っていないと紹介予定派遣ができないことになる。

順に見ていく。

労働者派遣のうち、(略)派遣元事業主が労働者派遣の役務の提供の開始前又は開始後に、当該労働者派遣に係る派遣労働者及び(略)派遣先について、職業安定法その他の法律の規定による許可を受けて、又は届出をして、職業紹介を行い、又は行うことを予定してするもの

普通の派遣との、いちばん大きな違い

面接ができることになる。

普通の派遣では、派遣先が働く人を選ぶ行為(特定行為)は制限されている。条文はこうなっている。

労働者派遣(紹介予定派遣を除く。)の役務の提供を受けようとする者は、労働者派遣契約の締結に際し、当該労働者派遣契約に基づく労働者派遣に係る派遣労働者を特定することを目的とする行為をしないように努めなければならない。

(派遣法第26条第6項)

括弧書きで、紹介予定派遣が外されている。だから紹介予定派遣では、派遣先が選ぶ行為ができる。

指針は、何が特定行為に当たるかを具体的に書いている。

派遣先は、紹介予定派遣の場合を除き、(略)労働者派遣に先立って面接すること、派遣先に対して当該労働者に係る履歴書を送付させることのほか、若年者に限ることとすること等 派遣労働者を特定することを目的とする行為を行わないこと。

(派遣先が講ずべき措置に関する指針 第2の3)

普通の派遣紹介予定派遣
就業前の面接できないできる
履歴書の送付できないできる
派遣先が人を選ぶできないできる

「派遣なのに面接がある」のは、紹介予定派遣だからになる。普通の派遣で面接があるなら、それ自体がおかしい。

「職場見学」とは何が違うか

普通の派遣でも、働き始める前に職場を見に行くことがある。面接ができないはずなのに、なぜか——という疑問になる。

指針が線を引いている。

派遣労働者又は派遣労働者となろうとする者が、自らの判断の下に派遣就業開始前の事業所訪問(略)を行うことは、派遣先によって派遣労働者を特定することを目的とする行為が行われたことには該当せず、実施可能であるが、派遣先は、派遣元事業主又は派遣労働者(略)に対してこれらの行為を求めないこととする等(略)十分留意すること。

(派遣先が講ずべき措置に関する指針 第2の3。派遣元指針 第2の13(1)も同じ)

本人が自分の判断で見に行く特定行為に当たらない。できる
派遣先や派遣会社が求める求めてはならない、とされている

線は「誰が言い出したか」にある。本人が見たいから見に行くのは問題ない。会社に「来てください」と言われて行くのは、指針が想定していない形になる。

そして、普通の派遣の職場見学は「選考」ではない。見学の結果で派遣先が断ることは、特定行為になる。紹介予定派遣の面接とは、そこが決定的に違う。

6か月を超えられない

指針が期間の上限を定めている。

派遣元事業主は、紹介予定派遣を行うに当たっては、6箇月を超えて、同一の派遣労働者の労働者派遣を行わないこと。

(派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針 第2の15(1))

派遣先の側にも、同じ内容が書かれている(派遣先指針 第2の18(1))。

お試し期間は最長6か月になる。それを超えて派遣のまま働かせることはできない。

短くしてもよい。3か月で切り替える例もある。6か月は上限であって、標準ではない。

断れるか

まず、直接雇用は確定していない。「予定」であって、原則として約束ではない。

どちらの側からも断れる。

誰が何を断れるか
あなた職業紹介を受けない/紹介を受けても就職しない
派遣先職業紹介を受けることを希望しない/紹介を受けた人を雇用しない

ただし、約束される形もある。条文は「当該職業紹介により、当該派遣労働者が当該派遣先に雇用される旨が、当該労働者派遣の役務の提供の終了前に(略)約されるものを含む」と書いている(法2条4号)。

だから、契約を見ることになる。 約束があるのか、予定にとどまるのかで、話がまったく違う。

断られたとき、理由を聞ける

ここが紹介予定派遣の特徴的なところになる。理由を教えてもらう経路が、指針で用意されている。

採用されなかった理由を知る あなた 派遣労働者 派遣会社 派遣元 派遣先 施設・事業所 1 求めに応じ 2 明示を求める 3 書面などで明示 4 本人に伝える 派遣先に直接聞くのではない 派遣元指針15・派遣先指針18/起点は本人が求めること
採用されなかった理由は、派遣会社を経由して知ることができる。

派遣元指針は、こう書いている。

派遣元事業主は、紹介予定派遣を行った派遣先が職業紹介を受けることを希望しなかった場合又は職業紹介を受けた派遣労働者を雇用しなかった場合には、派遣労働者の求めに応じ、派遣先に対し、それぞれその理由を書面(略)により明示するよう求めること。また、派遣先から明示された理由を、派遣労働者に対して(略)明示すること。

(派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針 第2の15(2))

そして派遣先の側にも、応じる側の定めがある。

派遣先は、(略)職業紹介を受けることを希望しなかった場合又は職業紹介を受けた派遣労働者を雇用しなかった場合には、派遣元事業主の求めに応じ、それぞれその理由を派遣元事業主に対して書面(略)により明示すること。

(派遣先が講ずべき措置に関する指針 第2の18(2))

起点は「本人が求めること」になる。 黙っていても理由は来ない。聞けば、書面で返ってくる仕組みになっている。

一般の求人でも理由を伝える会社はある。ただし、理由を開示させる仕組みが制度として用意されているのは、こちらになる。

年齢と性別のルール

派遣先が選べる分、選び方にルールが置かれている。

選ぶときのルール(紹介予定派遣)

中身
年齢年齢を理由として、特定等の対象から排除しないこと。求める職務の内容・適性・能力・経験などをできる限り明示すること
年齢制限が認められる場合定年を下回ることを条件とするとき(期間の定めのない契約を予定する場合に限る)、法令で就業等が禁止されているときなど
性別男女の均等な機会と待遇の確保が求められる。ただし、女性が相当程度少ない雇用管理区分で女性を優先することは、ポジティブ・アクションとして認められる

(派遣先が講ずべき措置に関する指針 第2の18(3))

契約に書いてはいけないこと

中身
性別労働者派遣契約に派遣労働者の性別を記載してはならない(派遣先指針 第2の4(1)、派遣元指針 第2の13(2))
障害者障害者であることを理由とする不当な差別的取扱いをしない(派遣先指針 第2の4(2))

「若い人に限る」は、特定行為の禁止の例として指針に名指しされている(普通の派遣の場合)。紹介予定派遣でも、年齢による排除には制限がかかる。

何を確かめるか

紹介予定派遣の話が来たら、次を確認する。

1. 切り替え後の雇用形態——正社員か、契約社員か。「直接雇用」は正社員という意味ではない

2. 切り替え後の労働条件——給与、勤務時間、勤務地。派遣中と変わることがある

3. 派遣期間——何か月か(上限は6か月)

4. 紹介手数料の扱い——派遣先が派遣会社に払う。本人が払うものではない

5. 断った場合どうなるか——別の仕事を紹介してもらえるか

2がいちばん見落とされる。派遣のときの時給と、社員になったあとの月給を、年収に直して比べることになる。

向いている場合と、そうでない場合

向いている向いていない
職場の様子を見てから決めたいすぐに直接雇用で働きたい
直接雇用を目指している短期だけ働きたい
選考で不利になりやすいと感じている派遣のまま長く働きたい(6か月で終わる)

紹介予定派遣は、派遣を長く続ける働き方ではない。

出典

  • 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律 第2条第4号(紹介予定派遣の定義)、第26条第6項(派遣労働者を特定することを目的とする行為。紹介予定派遣を除く)(e-Gov法令検索・2026年8月25日取得)
    https://laws.e-gov.go.jp/law/360AC0000000088
  • 厚生労働省「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」第2の13、第2の15(紹介予定派遣=6箇月の上限、理由の明示)(2026年8月25日取得)
    https://www.mhlw.go.jp/content/000920084.pdf
  • 厚生労働省「派遣先が講ずべき措置に関する指針」第2の3(特定を目的とする行為の禁止)、第2の4(性別・障害者)、第2の18(紹介予定派遣=6箇月の上限、理由の明示、年齢)(2026年8月25日取得)
    https://www.mhlw.go.jp/content/000717005.pdf

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