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派遣の有給休暇——週2日でも付く。ただし会社を変えるとゼロに戻る

編集部公開 2026年8月25日

派遣でも有給休暇は付く。労働基準法が定めているので、雇用の形は関係ない。

ただし派遣には、知らないと損をする点が2つある。

#見落とされやすいところ
1数えるのは派遣元での勤続。派遣先が変わっても切れない
2週の日数が少なくても付く(比例付与)。週2日なら6か月で3日

発生する条件は2つだけ

使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。

(労働基準法第39条第1項)

中身
条件1雇入れの日から6か月間の継続勤務
条件2全労働日の8割以上の出勤
日数10労働日(フルタイムの場合)

申請や許可は要らない。 条件を満たせば発生する。

週の日数が少ないと、日数が変わる

ここが最も知られていない。週5日でなくても付く。 ただし日数が比例して減る。

対象になるのは、週の所定労働時間が30時間未満で、かつ次のいずれかの人になる(労基法39条3項、施行規則24条の3)。

  • 週の所定労働日数が4日以下
  • 週以外で決めている場合は、1年間の所定労働日数が216日以下

日数の表は、施行規則が定めている。

継続勤務週4日週3日週2日週1日
6か月7531
1年6か月8642
2年6か月9642
3年6か月10852
4年6か月12963
5年6か月131063
6年6か月〜151173

(単位=労働日)

週ではなく年間で決めている場合は、次の日数で読み替える。

週の日数1年間の所定労働日数
4日169〜216日
3日121〜168日
2日73〜120日
1日48〜72日

週2日でも、6か月で3日付く。6年6か月続ければ7日になる。

週30時間以上なら、日数が少なくてもフルタイムと同じ扱いになる。たとえば週4日でも1日8時間なら32時間なので、比例付与ではなく10日になる。

フルタイムの場合の加算

6か月で10日。そこから1年ごとに加算される(労基法39条2項)。

継続勤務日数
6か月10
1年6か月11
2年6か月12
3年6か月14
4年6か月16
5年6か月18
6年6か月以上20

条文は「10日に加算する日数」の形で表を持っている(1年→1日、2年→2日、3年→4日、4年→6日、5年→8日、6年以上→10日)。

派遣会社を変えると、ゼロに戻る

条文の「使用者」は、雇っている側になる。派遣では派遣元になる。

どうなるか
派遣先が変わる(派遣会社は同じ)継続勤務は途切れない。日数は積み上がる
派遣会社を変えるゼロから数え直しになる

A社で3か月、B社で3か月働いても、合算されない。どちらも6か月に届かないので、有給は付かない。

複数の派遣会社に登録するときに効いてくる。分散させると、どこでも6か月に届かないことがある。

出勤したものとみなされる期間

「8割以上の出勤」を数えるとき、休んでいても出勤扱いになる期間がある(労基法39条10項)。

出勤扱いになる期間
業務上の負傷・疾病で療養のため休業した期間(労災)
育児休業をした期間
介護休業をした期間
産前産後の休業期間

これらは欠勤に数えない。労災で休んだせいで有給が付かない、ということにはならない。

「全労働日」の数え方(分母から除く日があるか)は、条文に書かれていない。 会社都合の休業日などをどう扱うかは行政の解釈の領域になる。この記事では踏み込まないので、争いになりそうなときは労働基準監督署に相談する。

時季を指定できる。ただし例外がある

使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。

(労基法39条5項)

日を選ぶのは働く人になる。派遣元ができるのは「別の日にしてほしい」と時季を変更することだけで、取らせないことはできない。

取得の理由を説明する義務は、条文には無い。

申し出る先は、雇っている派遣元になる。有給を与える義務を負うのは使用者=派遣元だからになる。実務としては派遣元が派遣先と日程を調整することになる。

時季変更権(「別の日にしてほしい」と言えること)を持つのも派遣元になる。派遣先が忙しいという事情だけで、当然に変更できるわけではない。ただしどこまで認められるかは条文に書かれていないので、ここは断定しない。

年5日は、派遣元が取らせる義務がある

使用者は、(略)有給休暇((略)十労働日以上である労働者に係るものに限る。)の日数のうち五日については、基準日から一年以内の期間に、労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければならない。

(労基法39条7項)

10日以上付く人には、派遣元が年5日取らせる義務がある。本人が申し出なくても、派遣元が時季を決めて与えることになる。

比例付与で10日未満の人は、この義務の対象外になる。

時間単位で取った分は、この5日に数えられない。 条文が対象にしているのは「第1項から第3項までの規定による有給休暇」で、時間単位を定めた第4項は入っていないためだ。

有給の日の賃金

条文は3つの方法を挙げている(労基法39条9項)。どれを使うかは就業規則などで決まる。

計算の方法
平均賃金
所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
労使協定があれば、標準報酬月額の30分の1に相当する額

払うのは派遣元になる。働いていない日の賃金なので、派遣先は関係ない。

記事07(マージン率の読み方)で「マージンから有給の賃金が出ている」と書いた。その根拠がここになる。

時間単位で取れることもある

労使協定があれば、年5日以内の範囲で時間単位の有給が使える(労基法39条4項)。

協定が無ければ使えない。派遣会社によって違うので、あるかどうかを聞くことになる。

確かめること

1. いつが基準日か(雇入れの日から6か月後)

2. 自分は何日付くか(週の所定労働時間が30時間以上か、未満か)

3. 残日数と有効期限(時効は2年。労基法115条が「災害補償その他の請求権(賃金の請求権を除く)」を2年としている)

4. 時間単位で取れるか(労使協定があるか)

5. 申請の方法と期限(何日前までか)

契約が更新されるときも、勤続は続く。同じ派遣会社なら、契約が切り替わっても6か月の計算は途切れない。

出典

  • 労働基準法 第39条(年次有給休暇。第1項=6か月・8割で10労働日、第2項=継続勤務による加算、第3項=比例付与、第4項=時間単位、第5項=時季指定権と時季変更権、第7項=年5日の付与義務、第9項=有給休暇の賃金、第10項=出勤したものとみなす期間)、第115条(時効)(e-Gov法令検索・2026年8月25日取得)
    https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049
  • 労働基準法施行規則 第24条の3(比例付与。第1項=30時間、第2項=5.2日、第3項=日数の表、第4項=4日、第5項=216日)(e-Gov法令検索・2026年8月25日取得)
    https://laws.e-gov.go.jp/law/322M40000100023

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